Q  古紙が余って困ってるって、本当ですか?
論理的に、集まりすぎて困るという事はありません。(少し乱暴な論理かも知れませんが・・)
ある年の春から夏にかけて、古紙が集まりすぎて、余って困るという報道が繰り返された事があります。
ところがその年のお盆を過ぎた頃から、一転して古紙の不足が問題になり始めました。
 このような急激な需給の変転は、なぜ起こるのでしょう。
古紙は、その重量・体積の割に価格が低い、つまり付加価値の低い商品です。
回収され、選別・プレス加工といった一連の処理を済ませた古紙は、1M×1M×2M くらいの固まり(重量1トンくらい)になってストックされますが、これが製紙メーカーに納入されるときの価格は、古雑誌の場合で、1トン約3,000円程度(大阪:問屋店頭渡し価格)です。
この古紙を、大阪市内などの都市部で1ヶ月間在庫すると、1トン当たり約5,000円の倉庫料が掛かると言われています。かと言って、保管料の安価な郊外の倉庫に移動させるのにも、運賃その他で、たちまち販売価格を上回る経費が掛かる事になってしまうでしょう。
 つまり、古紙は長期間在庫にふさわしくない商品なのです。
したがって、古紙問屋の在庫能力は、低い水準にならざるを得ません。
また近年、製紙メーカーも財務的事情によって、古紙の在庫水準を低く抑えています。
おまけに決定的要素として、古紙は発生物であって、生産物ではないという事情もあります。
需要が減ったからといって生産調整によって在庫水準を調節する事が出来ません。
一時の需要減退(紙製品の製造の減退)が、古紙発生の減少となって具現化するのには、かなりのタイムラグがあります。
 様々な理由から古紙の需給関係は、構造的に不安定にならざるを得ないわけですが、我が国の古紙リサイクルには長い歴史があって、それらの様々な問題も、価格相場の変動による市場原理の働きや、古紙利用の新技術の開発によって克服してきたのです。
 また近年は、古紙の集荷が国内消費を上回る、つまり集まりすぎる傾向にありますが、今では古紙は完全な国際商品となっていて、中国など、古紙の回収体制が整っていない、それでいて古紙消費の大きい国が、盛んに輸入しています。
わが国は、そのような国への古紙供給でも貢献しているのです。
 
 先年の余剰時、行政主導の「ゴミ減量」政策が浸透し市場原理が働かなくなったと危惧する声が高かったのですが、製紙メーカーの古紙利用技術の向上と、製紙原料以外の利用技術の開発、それに国際的な貢献と言う形で、需給バランスに微妙な揺れを繰り返しつつも、今後も国内古紙の利用率は確実に向上します。
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